2011年1月2日日曜日

■地中レーダーによる「遺構土は人工的」

地中レーダー調査の渡邊広勝氏のHPを改めて読みました。


ローム層での遺跡調査

1.データ表現の基本
地中探査レーダーデータ(以下データ)は、電波の地中での反射模様である。
この反射模様をパターンと称する。         1993-社・日本測量学会 Terra
これをすべて該当地の地盤状況により、調査目的を確認して分析する。
表現されるデータには、電波の地中での動きを示している。
この動きはデータ中に様々に表現される。
この中からパターンの特徴を求め反射範囲の特定、反射形態の特定をする場合が在る。
データの表現は、その土地の土質により異なり、また含水率により影響を受ける。
2.ローム層調査でのデータ
我が国の火山に隣接する表層堆積地盤の土質層は、通称ローム層(以下ローム土)である。
*電波の透過
地中探査レーダーでは、ローム土でデータに状況表現が良好に表される。その理由としては、土質の均質性が高いことにある。 また含水率も比較的安定していて、電波の透過に対して乱雑な伝播質でないことにある。
*自然生成黒色土(以下黒色土)の表現
ローム土は通常地盤では上部に黒色土がある。
ロームと、黒色土では電波の伝播速度が極めて異なる。
ロームと黒色土は、その生成過程で相互の境界を画一的な面で生成していることはまれであり、様々な要因により黒色土がローム内に浸透している。
電波の反射は、それぞれ物質の持つ電波の伝播速度の異なる境界で発生する。
室内実験のような人工的な積層では、黒色土とローム土の境界はデータに,明確に表現するため反射が発生するが、自然堆積でははっきりしていないため、データ上も境界を正確に示すことは出来ない。
*遺構土層の表現 (以下遺構土)
遺構土は主に黒色であるが、黒色土と異なる点は人工的に生成されていることであり、素材、密度なども黒色土とは異なる。 また形態も人工的に構築配置されていることである。
このため自然堆積土との間にはっきりとした境界線が出来る。
従ってこの相互間の境界では、電波の伝播に対し明快な時間差が発生する。
時間差は反射波の発生となる。反射波の発生は、データの表現体となる。
このように遺構土とローム土・黒色土との境界面は良好な反射面である。<
以上は電波のローム土内での反射の性質について示した。
ただすべての遺構土が反射を正確に示すとはいえない。
また、雑土がローム内に撹乱で混入すると、強い反射物となり状況によっては遺構と間違える場合もある。
以下特徴有る遺構土表現データを展示する。
*有機質土と無機質土
「有機質土と無機質土」の表現で、土中での電波の反射を区別することがある。
遺構土は有機質土で、ローム土は無機質土である。
この境は良好な反射面を作るため遺構調査には重要な表現である。
電波の伝播速度の違いによる反射波の発生は、土質や土地の環境経過、砂層、礫層などの粗粒子土層や粘土層、砂鉄層・人工地盤・地下構造物・廃棄物などおいても同様の反射が発生する。
調査地区によっては、地盤経年の情報収集に注意を要する。
3.ローム層における遺構
下図は、傾斜面部に形成された遺構で、図中左下写真は調査時のデータである。
下図2枚は平坦地での住居遺構である。層状部分が住居跡確認。縄文中期。

図1、図2は遺構構成地盤のデータである

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