2009年5月10日日曜日

■男鹿の赤神


鹿三山 お山がけしたら、赤神さんが気になり調べました。

民話「赤神と黒神」

ぶん・まつたに みよこ え・まるき いり 
ポプラ社<むかしむかし絵本>秋田の民話。
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【話】十和田の湖に一人の美しい機織りの女神が住んでいた。男鹿半島には鹿の群れを連れた笛の好きな赤神が住んでいた。そして、八甲田山のはるか遠くには龍飛の黒神が住んでいた。赤神と黒神の二人の男神に愛された女神。
お互いに「女神はわしのもの」「いや、おれのもの」と争うようになった。このとき、みちのくの神々は、津軽の岩木山に集まって、この神の戦を見物した。戦いは凄まじく、黒神の剣に切られた赤神は野山を血で赤く染めながら男鹿半島の岩穴へ逃れた。
女神は負けた赤神がかわいいといって後を追った。戦いに勝ったが女神はもういない。黒神は石のように重い足取りで津軽の龍飛へと帰った。やっとの思いで辿り着くと、湖を背に向けてどっかと腰をおろした。そして、ほっと溜息をついた。その溜息があまりにひどかったので大地はめりめりと音をたてて裂けてしまった。本州と北海道は離れて、津軽海峡ができた。 

【所感】巻末の“『赤神と黒神』によせて“を読みますと、採集してきたのは瀬川拓男氏と記されてありました。瀬川氏とは松谷みよ子さんの元夫です。
粗野だが逞しい男性と、やさしい文学青年肌の男性。タイプの全く異なった二人の男性に愛された美しい女性。小説に出てくる登場人物みたいですね。
民話も松谷みよ子さんの手にかかると、文学になり、絵まで添えられると子どもたちにも読める絵本へと変化します。津軽海峡にまつわる神々の物語を知り、またひとつ豊かな気持ちになります。黒神の悲しさと潔さに心も奪われるかも。

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