2009年7月10日金曜日

013161■歌枕の分類


歌枕は、和歌を作る上での決まり事みたいなものです。地名を入れて調子を整えたり、その場所のイメージをふくらませる効果があります。多くの場合、訳すことが多いです。歌枕を私なりに分類すると









(1)駄洒落型
その地名とを掛けたり、名前の意味で象徴させるもので大多数の歌枕はこれに該当します。だから掛けられた言葉の意味だけ訳した方が良い場合もあります。…逢坂(滋賀)=逢う、近江=逢う身、泉川=いつ見、勿来関=来るななど
これや此の行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関(だから逢う坂というのだ)

(2)名物型
その地方の名物、風習などからイメージされるもので、序詞(あるものを導き出すために使われる的に使うものが多く、訳す必要は少ないものです。訳すとすれば「○○の有名な△△は」といったことかと思います。歌垣という風習から恋歌に使われる筑波山のようなものものもあります。…難波→芦、高砂→古い松、長良橋→古い橋、
難波潟短き蘆のふしの間も逢はでこの世を過ぐしてよとや

(3)代名詞型
(2)の派生系で、その地名と名物が代名詞化したもので、立田山といえば紅葉、吉野といえば桜という感じで使われます。
ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは(紅葉とはどこにも出てきません)
(4)名物駄洒落型
名物に掛けるために地名を入れる物で、訳すとすれば「○○地方で有名な△△ではないが、△△…」…住之江→夜(波が寄るから)難波の澪標→身をつくす
住の江の岸に寄る波よるさへや夢の通ひ路人目よくらむ

(5)複合型
(1)と(2)の複合型で、地名の駄洒落と名物がセットになっているもの
陸奥のしのぶもぢずりたれゆゑに乱れそめにしわれならなくに(信夫(福島)と忍恋、名産品のもじ擂りの乱れ模様)
かくとだにえやは伊吹のさしも草さしも知らじな燃ゆる思ひを(伊吹と言う、名物のモグサとさしも(少しも)の掛詞

以上のように分類しましたが、例えば竜田山は「立つ」に、住之江(住吉)は「住み良し」と(1)型で掛けている場合もありますので、どういう形で使われているか調べるのもたのしいかと思います。

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(まとめ)
・なるほどこれが歌枕ですね。
・枕詞の「土中の闇に眠る種子のようなもので、そこからやがて芽が生じるように歌が出てくる」のも含まれているでしょうが、歌枕は平安時代からの歌遊びなのですかね。

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